志賀坂峠で・・・???!!!

 変な予感はずっとあった。なぜか今回に限り・・・。
まさかそれが現実のものになろうとは!

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 眠れぬ一夜を過ごし、夜もふけぬ4時過ぎに起き出す。なんとなくけだるい身体を車に預け、今日の目的地までの130キロを淡々と進んでいく。「今日のコースをどうしよう」とずっと考え続けていた。
 結局中途半端などちらになっても大丈夫だろう、ということで滝沢ダムサイトの駐車場にデポした。天丸トンネルを頂上にした上野大滝林道をやるか、小鹿野に下る周回コースにするか・・・。

 なぜこんなに悩むんだろう?それは熊だ。熊にあったらどうしよう、なんてことばかりを考えてしまうのだ。こんなことは初めてだ。




 しかし天気は上々。中津峡の紅葉も最高とはいえないまでもすばらしい。朝の9時台で、まだ陽は山の頂付近に当たっているだけで、谷間に注ぐ前の薄暗く静かな道をゆっくりとした速さで進んでいく間に、熊のことは頭から消えていた。

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効率化のために作られた、たくさんのトンネルを通過しながら、山の赤や黄色を写真に収めていくうちに、あっという間に八丁トンネルへの分岐に到着した。
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その異様な光景、コンクリートの塊の真ん中に大きな空間が開き、そこから異次元の世界に入り込んでしまうのでは?といった奇妙な感覚に襲われる。
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 ここから雁掛トンネルまでの4キロは深い谷底を縫うような道で、顔を一杯に上げると山の木々の中に青い空が垣間見えるような感じだ。雨が降ってもいないのに、道は軽くぬかるみ、細いタイヤが空転する箇所さえあった。
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「ああ、このダートが天丸トンネルからの道だな?」と確認し、同時に眼前には雁掛トンネルの口がぽっかり開いて待ち構えていた。
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 他の人のブログなどを見ると、真っ暗な数百メートルのトンネルだと聞いていたので、いつものSG-305(閃)のほかにデトネーターという閃以上に明るいライトも持参した。さらにテールには百金で買ったピカピカ光るライトを取り付け、トンネル内でダンプに会っても大丈夫なように万全の準備をしていた。

 杞憂だったことも予想通りだったこともあった。SG-305はすばらしかった。これだけで、真っ暗な中でもまったく不安はなかった。一方、トンネルの中ほどに差し掛かったときに、後ろから轟音を上げてダンプがやってきた。相手からはこっちがはっきり認識できるはず。トンネルの横に設置された20センチほどのパイプに片足を預け、自転車を壁よりに倒し、ダンプをやり過ごす。フーッ。

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 トンネルを抜けると急に視界が明るくなった。ニッチツ鉱山の異様な建物郡が目の前に飛び込んできた。操業はしている。人の姿は見えないが、郵便局の前に自転車を止め、写真を撮ろうと思ったら自転車が倒れ、ガシャン!!と大きな音がした。それを聞きつけたのか、局の中から人がぬっと現れた。

「????」怪訝な顔をしているので、
「あぁ、自転車が倒れたんです」というと、とたんに破顔一笑。ニコニコ顔で、
「これから上るんですか?こないだもバスで途中まで来て、自転車を組み立ててここまで来た人がいましたよ」
「私は車を下においてきたんです。これから向うに下って、上野に下り、向うの道を戻ろうと思ってるんです」
「あっちも通れるみたいですねぇ。一度も行ったことないけど。気をつけて」

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 工場を過ぎると、そこここに廃屋が点在している。工場がもっと華やかだった頃には、この宿舎にたくさんの人たちが生活していたのだろう。学校なんかもあったのかも・・・。
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 華やかに彩られた、趣のある上り勾配の道をせっせと登っていく。赤よりも黄色が多いみたいだ。何度かの九十九折れを繰り返しながら頂上に近づく。寝ていない割にはしごく快調、郵便局前よりちょうど一時間で頂上のトンネルに着いた。
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 トンネルが風洞の役目をしているのだろう。非常に冷たい風がトンネルから吹いてくる。久しぶりに持ってきた蛸足三脚にカメラをセットし、地面に置いてセルフタイマーで自分を写してみた。首から上が無いじゃん!!
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 頼りになるSG-305で路面を照らしながら、下り勾配のトンネルをビューッと走り抜けると、急に視界が広がった。二子山の特徴ある山容が、同じ高さに遠望できる。

 山の表面の白いものを「雪かなぁ?」といったら、車で来た人が「下から見たら岩でしたよ」と・・・。
石灰岩が露出しているのだ。

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志賀坂峠への下りは圧巻だった。もみじが多いせいか、上りよりもずっと赤が引き立つ山々を横目で捉え、右に左にハンドルを切りながら、ワイディングロードを駆け下る。峠はすぐだった。

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 それはあまりにも唐突だった。志賀坂峠に着き、左に峠のトンネル、右に大きく広がった景色の中、埼玉県の表示のある標識に自転車を立てかけて写真を撮ろうとしたそのとき、道の反対側の法面上部の急な崖からガサガサと音がする。もちろん他に誰もいない。

 自転車を立てかけるのも忘れ、それを押して道の中央あたりまで行き、音の出ていたほうを見ると、前足から後足、そしてお尻の辺りまでが見えた。黒光りした身体、猿よりもずっと大きい身体がゆっくりと下に向かって動いていた。瞬間的に「熊!!」と思った。

 道の端までゆっくりと離れ、もう一度同じ場所を確認すると、動いていない。頭は見えなかったが、なぜかこちらを伺っているように思ってしまった。
 
 後は「三十六計逃げるにしかず」、何の迷いも無くR299を小鹿野方面に向かって一目散に下った。

 しばらくしてドキドキバクバクが落ち着いてきて疑問がわいた。
「本当に熊だったのか?もしかしたら猪では?」と。今になって確かめるすべは無いが、やはりあれは熊だった(それもたぶん子供の熊)と思うことにした。そして、前日からのモヤモヤした感覚は、このことを予知していたのか?と思ったりもした。

 志賀坂峠に熊??国道だよ。そんなところに出るわけ無いじゃん!自分もそう思う。でも自分の目で見たあれは何だったのか・・・??

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 その後の40キロは、このことをずっと考えながら走っていた。上野大滝林道も天丸トンネルも頭の中から消えていた。

COMMENTS

No title

MAKOさん

いまだに半信半疑です。
本当は何か違うものだったんじゃないか??とも思ったりして・・・。

でも今では、遣り残した感じのコースにMAKOさんが行った塩ノ沢峠や八倉峠、十石峠、余地峠なんぞを組み合わせたコースを考え始めています。星尾峠も行きたいしなぁ。

No title

熊でしたか!自転車のトラブルかと思っておりました。
無事で何よりです。今年はどこにいても不思議ではない感じです。

でも鉱山あとの廃墟、トンネル、見所ありますね。
八丁峠は裏から両神山を登るのに車で行ったところでありますが、
自転車ならではの面白さ、怖さあります。
ここも行きたくなってきました。


No title

そうなのでありますよ!!
言い訳はもう少し待っていただいて・・・・、ともったいを付けております。ワハハ・・・です。

No title

グラフを見ていると、天丸トンネルのピークがない。わはは。
上野村側には下りなかったのでありますね。
なにかトラブルが!?
でも73kmですもの。たっぷりであります。

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