奥只見は遠かった

奥会津ツーリング二日目。
朝から天気がはっきりしません。予報では午後から雨模様。どんよりとした雲がたちこめています。

枝折峠方面は全線舗装だが、距離にして90キロ近く、一方、ダートの方は距離は短い。どちらにしようか。
と頭を悩ませている様ですが、実は昨日から決めていたんです。なぜならば・・・、唐沢峠のダートの短い下りを走りきったときに、空気入れの一方が外れてしまっていたんです。
このまま長いダートを下ると、どこかで間違いなく空気入れを落とす!!と踏んだんです。
(本当はダートにひよったのかもしれませんが・・・)

それに川俣の方は、別の機会に行くことが出来る!!と思った訳であります。

そんなこんなで決めた枝折峠、いやぁ走りがいがありました!!!!

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実は何件も電話しまくったのだった。
「申し訳ありません、11日は満室なんです」
ある民宿では、いったん受け入れてくれた(男の人)にも関わらず、すぐに電話が来て、
「間違ってました。11日は満室なんです。またお願いします」と女の人の声。
7軒目。
「開いてます、只お一人ですと、1000円割り増しになりますがいいですか」
「もちろん結構です」

こんなやり取りがあって決まった宿。行ってみるとなんと断られた数件の宿の近くだった!!その宿がどういう状態かは何となく分かるものだ。
自分も自営業なので、断った宿の気持ちもよくわかるから、「しようがないなぁ」とも思う。却って、たった一人の宿泊でも快く受けてくれた宿に、余計信頼感が増した。


何はともあれ、快適な一夜を過ごし、翌日は作ってもらったおにぎりをもち、8時前には宿を後にした。軒の下に入れていた自転車は夜露に濡れてビショビショの状態。屋根も道も雨でもないのに濡れていた。
昨夜利用した温泉も一枚。
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尾瀬御池に向かいペダルを踏み出したが、鬱陶しいほどの湿った空気に包み込まれる。シャツは汗で濡れたように湿り、重く垂れてきた黒っぽい雲と相まって、これからの長い道程に一抹の不安を感じさせる。
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七入を過ぎ九十九折れが始まった。走り出しの頃の鬱陶しさはかなり減って、徐々に快調なペダリングになってきた。辺りはブナの林が広がり、昨日に比べ木々の色づきが増してきた。「尾瀬の方は盛りの頃かなぁ」なんて思いながら進んでいくと、ほどなく村営御池ロッジが見えてきた。

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隣の館岩村のバスが停まって、中から小学生の団体が飛び出してきた。多分尾瀬への校外学習なんだろう。赤い自転車に注目が集まり、「すげぇなぁ」なんて声が聞こえる。心の中で「すげぇだろぅ」と言う。


相変わらず天気は怪しい。雨が降らないだけましか。

自転車にぴったりと思える勾配をダイナミックに下っていくと、辺りの紅葉が急激に減ってくるのが分かる。少しばかり音を発するブレーキで、スピードをコントロールしながら快調に新潟に向かい下る。

あっという間に小沢平に。地名のごとく大きく開けた土地が現れた。


福島新潟県境の金泉橋に飛び出す。初めて新潟に足を踏み入れる。
「小出I.Cまで61km」の標識。銀山平までも35キロ以上ある。
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尾瀬御池までがメインで、そこからはアップダウンはあるものの、まぁなんとかなるさ、と思っていたことが甘い考えだったことがすぐに分かった。


アウターで上れるほどの緩い勾配をのんびりと進んでいく。只見川は相変わらず道と平行しており、豊富な水量を奥只見湖に注ぎ込む。昔の20万の地勢図では銀山湖となっているこの湖、ヒトデの足のような湖で、全貌を見渡すことは最後まで出来なかった。


尾瀬口の定期船発着所を過ぎる頃から徐々に上りがきつくなり、ギザギザした湖岸を何度も回り込むようになってきた。上っては下りの繰り返し、地図には全く現れないほどの変化が続く。


いくつもの沢をやり過ごしていく。沢から流れた水は道を横断し、自転車がそこを突っ切るたびにしぶきが足下を濡らす。
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そろそろ嫌になってきた頃、ついに恋ノ岐沢を中心とした、この道最大の変化のある処にやってきた。グーンと上り山を回り込むと、そこには深く切れ込み、奥の方が見えないくらいの谷に向かって山肌にへばりつくように下る道が見え、谷の向こうには同じようにへばりついた道が、下からウネウネと上がってくる。湖は大きな川のように(つまり細長く)見える。
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一番奥にある恋の岐沢の橋まで来た。大休止。欄干にどっしり座り、山にへばりついた道を眺める。

「ふーっ」思わずため息が出てしまう。
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恋ノ岐沢と次にある大きな中ノ岐沢、この二つの沢の前後10数キロが、気分的に最も疲れた所だった。湖岸の道はどこも沢への回り込みが多いものではあるが、奥只見湖のこの場所は自分が経験した所では一番大変だったような気がする。
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銀山平でお昼、という目安はとうにおシャカになり、「銀山平まで10キロ」の標識のそばにあった小広い場所で昼食にした。12時半だった。

強力なストーブのおかげであっという間に沸いたお湯でコーヒーを入れ、宿でつくってもらったおにぎり、ソーセージ、漬け物等でささやかなお昼を済ませる。
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御池にいた頃のどんよりとした天気は、その後薄日も射すようになってきて本当に助かった。
雨だったらもっと気分に余裕が無くなって、銀山平辺りでギブアップしたかもしれない。
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食後、少し元気になった足で、後10キロの道のりを淡々とこなしていく。真っ暗で曲がっていて向こう側が見えないトンネルで、例のSG-305の威力を確認しながら・・・。


その昔、銀がとれていた頃にはにぎわっていただろう銀山平も、今は観光船の発着所以外にはお店が二軒あるだけだった(もっとも少し離れた所に別の集落があったが・・・)。
2時前。
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「ヘェ、自転車で。ホォ、横浜から。フーン、新潟まで。自転車は?ヘェ、分解して。宅急便に頼んだら??ソゥ、フレームが傷つく?大変だねぇ」
お店の人と取留めのない話をしていると、身体が楽になってきた。さぁて、最後の枝折峠をやってしまおう。

思った以上に楽な上りだった。大規模なスノージェットを抜けると峠はすぐだった。
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絶景が広がる。特にこれから下る予定の道が山肌にくっきりとそのルートを刻んでいる。ここまでくれば、もうゆっくりだ。またティータイムにする。越後駒ヶ岳の登山口となっているせいで、登山が終わり片付けをして車で帰る人たちがたくさんいた。
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ハンドルの下を握り一気に下る。リアのブレーキを強く握ると「鳴き」が入るが、そんなことを気にして入られない。
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ところでこれはなんと読むんだろう?「ようしきたの」、「ようきたのし」あるいは「ようしきたのし」???

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(「よおきたのし」は新潟弁で「よくきたね~」って事、だそうでした)

湯之谷温泉郷を一気に通り過ぎ、人里におりてきた。後は小出まで真っすぐに向かうだけだ。

また雲が厚くなってきた。

小出に着いたのは列車が出発した3分後。駅員さんに聞くと、
「一時間後に出る次の列車を待っていても浦佐での乗り換え時間は数分しかないから、浦佐まで走った方が時間的に余裕がありますよ。あの道をこう行って、ああ行って、川沿いをずーっと行けば浦佐ですから」
雨がぽつぽつ来た中を浦佐まで10キロ以上余分に走って、今日の走行距離が三桁になってしまったのは最後のご愛嬌か・・・。
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COMMENTS

No title

上っている最中は、「どうしてこんなに・・・」なんて思うんですけどねぇ。

でも景色がいい所って、上りの方がいいんじゃないかとも・・・。

No title

>ワクワクするのと同時に
ほんとにそうですね。荒々しい山肌に刻まれた道。
緊張こそすれ、下りだからビューンなんて言えないです。

ここも自転車で行ってみたくなりました。
つらいのがわかってるのに。わはは。

No title

さすがですねぇ、そうです735mのピークです。

こういうのを見ると、ワクワクするのと同時に「気をつけて下れよ!!」といつも戒めてるんです。

ただもう少し紅葉があったらなぁ、って思いますけどね。

No title

この二日目の行程は、地形図を見ながら、じっくり数回読みました。

蛸の足のよう湖の大きな沢と尾根を越えて、なおも中小の沢の度に、小尾根越え繰り返す湖岸の道。このたっぷり感は読んでいても疲れました。
>欄干にどっしり座り
わはは。この後、もう一本ありますものね。

枝折峠からの眺め、素晴らしいです。
車で来たのとはありがたみが全く違う景色であります。
中央に見えている三角の山は北沢の右岸、25000図では735mのピークでしょうか。

ぶな坂の清水は、逆コースで宿が桧枝岐ならお茶にしたいところですが、
まだまだ先がありますもの。ゆっくりしていられないですね。

お疲れ様でした。

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